【1話】僕に安全で分厚い作業靴を下さい。ガラスの粉塵舞うゴミ集客場の絶望

 

本当にやりたいことが見つからなかった僕は、
高校を卒業後、とりあえずご飯代を稼ぐためだけにアルバイトを繰り返す日々をスタートさせます。

当時は日雇いのバイトを探していました。
少しつらくても時給が高いものを選んで、働く時間をなるべく少なくして、なるべく家にいるようにしたいと思っていました。

 

僕が家にいたいと思う理由ですが、僕の家には昔から半身麻痺で要介護4のおばあちゃんがいました。

僕と母親とおばあちゃんの3人暮らし。

食事やトイレ、起き上がることもサポートしないといけないので、どちらかが家にいてお世話をする必要がありました。

母親と一緒に交代しながらお世話をする必要があったんです。

なので、長い時間家を空けられないっていう縛りがあって。

 

と、ここからは僕の自分勝手な理由なのですが、

家でゆっくりアニメを観たり絵を描いたりしていたい!と考えていましたね。

その点、日雇いバイトは当時の選択肢の中では比較的未経験でも他のに比べて高い給料がもらえるものが多く、
高校を出たばかりの自分でもできそうなものを探しました。

 

そこで見つけたのがゴミの分別のお仕事。

 

最初書いてあったのは、
「簡単で誰でも続けられる仕事です!」と書いてあったので、

次の日にお給料も出るみたいだし、
長くやらなくなっても、サクッと辞められるからいいかなと思って始めました。

ところが、行ってみたら想像と全然ちがう!!

 



怒号飛び交う現場

「あぶねぇだろー!気ぃつけろやーーーっっ!!」

 

『ええぇぇえーーっ!!?』

 

仕事を開始して数分後、目の前に現れたのは僕の身長の5倍近くもある、1トンを超えるくらいのデカくて重そうなブルドーザーでした。

それに乗ってるおっさんが、
我が道といわんばかりの勢いで敷地内でブイブイ言わせながら車を走らせるのです。

「いやいや、そりゃこれが横通ったら危ないでしょーよ!!」

 

気をつけないと、本当にゴミと間違われて、
深さ100m近くありそうな暗くて深いゴミ捨て穴に本気で落とされそうで血の気が引きました。

大きなゴミはこのブルドーザーで一気に現場中央に掘られている深い穴に入れるようになっています。

 

一気に恐怖を覚えた僕でしたが、現場監督に仕事内容を言い渡されます。

僕の仕事内容は、ブルドーザーでは分別できない細かなゴミを手で拾って分別していくもので、
もう燃える燃えない、粗大ゴミとか関係なく、ぐっちゃぐちゃに混ざっているので、それを目で確認しながら分別していくことでした。

中にはとがったガラスの破片やクギも至るところに落ちていて、

支給された作業靴では薄すぎて貫通してしまうので、全く意味を成しません。

歩くたびに、クギが落ちていないか気をつけながら進むから仕事のスピードが遅い。

それを見ていた現場監督の人が「遅ぇーよ!」と怒鳴り散らす。

 

 

「いや、お願いだから、クギが刺さらないような安全で分厚い作業靴を僕にください」

 

そんなん言えるような雰囲気の現場ではありませんでした。
少しでも話しかけようものなら逆ギレされそうな空気が漂う現場。
目つきも鋭く、変な緊張感が漂う現場。

 

足元を常に気をつけなくてはならない。

ブルドーザーに巻き込まれないように周囲を警戒しなくてはならない。

 

ブルドーザーがガラス製品にぶつかる度、辺り一帯にガラスの粉塵が舞い散ります。

その粉塵が舞い散るところにも、自分たちが細かなゴミを分別しに行かなくてはなりません。

 

もちろん、全てのゴミ集客場の仕事がこんな現場だとは思いませんし、
相手を思いやって声をかけてくれるところもきっとあるでしょう。

ただ、僕が働いていたところがたまたまそういう現場だったのかもしれません。
(このとき以来、ゴミ集客場の仕事はしていませんので詳しくはわかりませんが)

 

おじいちゃん怒鳴られる→そのおじいちゃん僕を怒鳴る

周りを見ると、僕と同じ高卒くらいの人もいれば、
60歳を超えてるんじゃないかと思えるくらいのおじいちゃんも働いていました。

こんなおじいちゃんもゴミ集客場で働いている姿を見て、なんか可哀想に思えてしまったのですが、

その気持ちも一瞬でなくなることになるのです。

 

そのおじいちゃんが仕事でミスか何かをしたのでしょう。
あるとき、現場のリーダー(おじいちゃん息子くらいの年齢の人)に、すごい剣幕で怒鳴られていました。

そしたら、そのうっぷんを晴らすかのように、
今度はそのおじいちゃんが僕をそれ以上の剣幕で怒鳴ってくる。

 

僕は何もしていないのに。
言われた通り、ゴミを分別して拾っては捨て、拾っては捨てを繰り返していただけなのに・・・。

車に引かれないようにも気をつけていたのに。

他の若い人にも当たり散らしている。

 

「意味がわからない。」

 

休憩の時間が唯一の救い。
そこにいる人たちから逃れられるのだから。

労働時間は朝の8:00〜夜の20:00。
これだけ働いて、日給9000円。

空気も悪いし、体調も崩すことも増えてきたのですが、

「仕事とはこういうものだ、大変なんだ。世の中みんな我慢して働いているんだ!」

と、自分に言い聞かせてしばらく続けていましたが、

数ヶ月後、さすがに心身ともに疲れ果てた僕は、逃げるようにこの仕事を辞めました。

 

環境は人を変える

人の入れ替わりがはげしいのもあるのか、
辞めるときには、「あっそ」みたいな調子で終わりを迎えます。

要は、僕じゃなくてもいいんだなと、このとき確信しました。

でも、こんなゴミ集客場の仕事でもわかったものがあります。

 

それは、「環境は人を変える」ということ。

 

怒号飛び交う中でずっと過ごしていては、
自分もつられて悪口を言ったり、人に怒りやすくなったりしてしまう。

周りと同じことをすることで、少しでも楽になろうとしてしまうということ。

無意識に楽な方に自分が持っていかれそうな感覚がそのときありました。

僕はそうはなりたくなかったので、この環境から離れることを決めました。

 

そして、次に僕を待ち受けていたのは、
今までとは真逆の「ゆる〜〜〜く働けるアルバイト」だったのですが、

ゆる〜いバイト生活と、堕落した生活をさらに加速させる、あいつが僕の家に現れることになるとは・・・
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【2話】目に見えない強大な力を持つあいつが、僕の家にもやってきた!

2018.11.04

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